講師インタビュー

自分のパッションを信じる “クリエイター気質”

パフォーマコースレジェンド講師 作品の“音”のすべてを管理する統括者長崎行男/ 音響監督

『シティーハンター』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』など多数のアニメで音楽プロデュースを担当。「グランツーリスモ」などのゲーム制作プロデュース、小比類巻かほる、所ジョージなどのアーティストのプロデュース経験も多い。

「東京以外でも活躍できる方法論を作りたい」と長年考え続けてきた

東京に出ずとも、チャンスを作れないか

「音響監督」とひと言でいっても、その内容は多岐に渡ります。最近の私の場合、テレビアニメや劇場用アニメで音響監督を務めることが多いですね。具体的には、役者のキャスティングから音楽の発注、アフレコ時の役者への演出、効果音の指定、音楽をどこからどこまでつけるか……といった具合に、作品の“音”に関することはなんでもやるのが音響監督という仕事です。「このキャラクターならこの声優がいいよね」と提案したり、実際にオーディションに参加したり、音楽家を推薦したりと、音にまつわることの統括的な責任者、と言っていいかと思います。
 声優の専門学校や養成所で講師をする機会もあります。そこで以前から感じていたのは、声優の仕事の仕組みが東京に集中しすぎているのではないか、ということです。地方在住者の場合、上京する費用や環境面でまずハードルがある。
 地方の中高校生のなかにもキラッと光るものを持つ子はたくさんいるのに、いまの声優業界はそういう地方の逸材がプロの声優になるための方法論がないんです。そんな子たちでもチャンスに巡り会えるようにできないか、と考えていたところ、吉本興業が沖縄に学校をつくると聞いて、それはおもしろそうだな、と直感で思いました。

ひとつに限定しないからこそ、可能性が試せる

 クリエイターは受け身にならず、自ら率先してなにかを見つけようと行動することが大事です。しかし、専門学校というと一般的にはひとつのことだけを学ぶ場所なので、生徒はどうしても「授業料払ってるんだから教えてよ」と、受け身になりがちです。
 私は、この沖縄ラフ&ピース専門学校は、エンターテインメントに関わるさまざまな要素が総合的に学べることが魅力だと思ってます。多様なコースがあるから、結果的にいろいろなことができる。「いままで興味もなかったけど、ダンスをやってみたら楽しかった!」「意外とできた」となる可能性もあるんです。その上で、声で演技することに才能があると思えば声優になればいいし、マンガを描くことに才能があるならマンガ家、ダンスが合うならダンサーになればいい。ひとつに限定しないからこそ、いろいろな可能性が試せるんです。
 しかも、原作を書く人、マンガを描く人、映像をつくる人がそろえば、仲間内だけで作品を完成させることだってできる。アメリカの映画学校はその仕組みなんです。私はプロデューサー、君はカメラマン、あなたは役者……という感じで、同じ学校に通う人たちで集まり、卒業制作として作品をつくる。これが日本の学校で実現できるのは、画期的なことです。
 その意味でも、「ものづくりをしたい」とか「自分から発信してみたい」という漠然とした思いはあるんだけど、それをどう具体化したらいいかわからない人に学びに来てほしいですね。通っている間に自分の可能性の中のひとつを見つけられる、そういう学校でありたいと思ってます。

声優も自分で自分をプロデュースする時代

 もちろんすでに、声優になりたい、役者になりたいという明確な目標がある人も、この学校でなら得るものは大きいはずです。なぜなら、声優も役者も自分で自分をプロデュースできなければいけない時代ですし、脚本を書く、演出するという部分まで踏み込んで理解していないと、一流にはなれないからです。
 声優志望の子100人に同じ台詞を言わせてみると、ほとんどが同じ話し方をします。みんな過去に見た有名なアニメのモノマネをするからです。でも、まったく異質なことをする人が稀にいる。自分で考え、自分だったらこうする、という演技をする人です。そういう子だけが、この業界で生き残っていく。多少ヘタクソでも、自分なりの解釈、自分なりの演技をする人でないといけません。なぜなら、演技は練習すれば上手になりますが、「誰かに似ているだけの人」は自分的発想ができず、オリジナリティがない人だからです。モノマネで終わる子は生き残れないんです。
  最近では元子役の方が、声優としても活躍することが多いです。花澤香菜さんや悠木碧さん、神木隆之介さんもそうですね。それは小さなころから、役者として「自分の発想を持つ」ということを鍛えられてきたからです。

声優をとりまく環境は年々変化しているが「個性が一番重要なのは変わらない」

たとえ1対9で意見が分かれたとしても

 作品をつくる、というのはディスカッションをすることです。役者は「言われた通りに演じる」ことが仕事ではありません。「この役がこの台詞を言う根拠はどこですか?」とか、「この物語の流れで突然この台詞が出てくるのおかしくないですか?」と、ディスカッションをしながら作品はできあがっていくんです。
 つまり、ものづくりに参加する“クリエイター気質”がないと、最終的には一流の声優、役者になれません。生き残る人はみんなその資質を持ってるんです。「みなさんがそう思うなら私も従います」と言ってしまう人は向いていません。たとえ1対9で意見が分かれたとしても、自分が正しいと思うのであれば、その理論やパッションを信じてほかの人を納得させればいい。そうしてより良いものを目指していくことが、チームで作品をつくる醍醐味ですから。
 これからアニメの国際化もどんどん進んでいくと思います。特に、日本の10倍以上の人口がいる中国ではニーズが非常に高まっていて、日本語のアニメや歌が大人気なんです。声優が現地のイベントに行けば集客もすごいことになる。言葉のカベがある職業だったのに、これからは海外で活躍することもできるのかもしれない。声優という仕事には、まだたくさんの可能性があると思うんです。

「ラブライブ!」シリーズ

アニメ映画、実写映画、テレビアニメ、ゲームなど、関わった作品は多数。なかでも近年大きなムーブメントを生んでいるのが、音響監督を務める「ラブライブ!」シリーズだ。アイドルグループを主人公としているためライブシーンも多く、音が持つ重要性が大きな作品でもあった。
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